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北海道雨竜郡
いのち豊かな混交林の再生をめざして
雨竜郡のある北海道北部には、台風による風倒被害などによって、ササの草原が形成されてしまったエリアが多くあります。この地に在来種のアカエゾマツを植え、多くの動物や植物が生息するいのち豊かな針広混交林を再生するきっかけを作ります。
プロジェクト概要
- 目的:
- 災害跡地整備
- 協定期間:
- 2006年10月1日~ 2020年3月1日
- 所在地:
- 北海道雨竜郡北海道大学研究林
- 管理者:
- 北海道大学 北方圏フィールド化学センター
- 樹種:
- アカエゾマツ
生態系豊かな『針広混交林』
複雑に入り組んだ水辺をもつ朱鞠内湖(しゅまりないこ)に臨む、北海道大学雨龍研究林。 東西30km、南北50km、24,000ヘクタールもの広大なこの森で、人と自然との共生をテーマにした教育研究が行われています。もともとこの道北の地には、アカエゾマツやトドマツなどの針葉樹とミズナラやイタヤカエデなどの広葉樹が混ざった「針広混交林」が広がっていました。森の中にはエゾエンゴサク、ミズバショウ、エンレイソウなどの草花が広がり、ヒグマやエゾシカ、オオタカからアカネズミなどの小動物が暮らす、豊かな生態系がありました。開拓以来の伐採などで笹原が増加
しかし、北海道のほかの天然林の多くと同様、開拓以来の伐採や山火事、台風などで木が倒れた跡地では、 繁殖力の強いササがスペースのできた地面を覆ってしまい、今は笹原が目立つようになっています。 厳しい気候もあり、一度ササが繁茂してしまうと、森林が自然に再生するには非常に長い年月がかかってしまいます。そこで、北海道大学の森林再生に関する研究をサポートするため、この地でプレゼントツリーの活動を始めました。
天然林の姿を回復するための工夫
プレゼントツリーでは、同大学の吉田先生の指導のもと、研究林内の笹地を刈ってアカエゾマツの苗木を植えています。数百年の寿命をもつアカエゾマツは良い材木になるため、北海道の開拓が始まって以来、最もその数を減らしてきました。 また、アカエゾマツの苗は競争力が弱く、自然の状態では倒木の上にようやく育つのですが、 大きな木が人間の手で伐採されてしまうと定着できる機会が減り、世代交代が難しくなります。 その意味で、人の手でアカエゾマツの苗木を植えることは、開拓以前の天然林のすがたを回復することにつながるのです。もちろん、ドングリや葉っぱが動物たちのエサとなる広葉樹の回復も重要です。そこで、笹地を開きアカエゾマツの苗木を植える間隔を広めにとり、苗木の間に広葉樹の種が落ち、自然に定着できるよう配慮をしています。将来的には、アカエゾマツの間に定着した広葉樹と合わせて、より自然に近い針広混交林が育っていくことを期待しています。